「彼が神経質だという話は、聞いたことありません。

心配するのは、私に原因があるからです。」



原因って、何だろ?



私が首を傾げると、サカシタはさっきからずっと手にしていた黒いパスケースのようなものを胸ポケットにしまおうと…。



だけど、手元が狂ったのか、ケースを落とした。



全く…、私の顔をジロジロ見るからそうなるのよ。



そりゃあ高校生になったんだから、彼氏の1人は作りたい。



だけど、こんなオジサンに好かれても困る。



アオイがパスケースを拾い上げたとき、ケースの中の写真が目に入った。



幼い女の子の写真。



それを目にした瞬間、つい言葉が口から出た。



「気味悪い…。」



私のセリフを聞いて、サカシタもアオイも固まった。



もしかして、マズイこと言った?



私はその場から逃げ出し、講堂へ向かった。



授業で会ったらヤダな…なんて、思いながら。