「菜乃ちゃんて可愛い呼び方だね!あたしも菜乃ちゃんて呼ばせてもらうね♪」



野原さんにニコッと笑う愛美。


「あっ、美月ちゃんもちゃんとみんなのこと名前で呼ばなきゃダメだからね?もし、名字で呼んじゃったら罰として全員分の飲み物おごりね~っ!」


「……はっ?」



渡瀬くんてばほんと勝手すぎる!


そんなことで全員分の飲み物をおごるなんて、冗談じゃないし!


しかたない……。


少しずつみんなのことを呼びならしていくしかないよね……。



「それから、あとでこのメンバーのライングループ作るから、美月ちゃんも菜乃ちゃんも連絡先教えてね~!」



あれよあれよという間に、渡瀬くんによっていろんなことがどんどん決まっていく。


なんだか、頭が痛くなってきた。


目も回ってきたような……。


体もフラフラするし、瞼も重たい。


そのとき、突然の睡魔が襲ってきて……



「……おい、美月っ!?」



遠くで大地が私の名前を呼ぶ声がして。


目を開けたいのに、自分の思うようにはいかなくて。


意識は遠退いていくばかりだった……──。