「そっ、ヒーロー。泣き虫だし、女の子みたいな顔してるからってからかわれてた俺のこと、美月がいつも守ってくれてたじゃん」


「……そうだったっけ」



美月は、フィっと横を向く。



「うん、そうだった。って、忘れたのかよ」


「そんなこと、いちいち覚えてるわけないでしょ」


「まさか、俺との思い出なんも覚えてないとか言うなよ?」


「……それは、どうかな」


「おい、どうかなって!」


「それより、お昼ご飯どうするか決めてよ。なんでもいいなら、パスタにするけど?」



それより、って。


ちょっとひどくね?


美月にとっては、俺との思い出なんかどうでもいいってことかよ?


思い出より、昼飯のが大事なのかよっ。


……けど、美月がパスタ作ってくれるとか、超うれしーんだけど!



「俺、パスタ大好き!」



素直に喜んじゃう俺って、すげー単純。



「なら、決まりね。できたら、呼ぶから待ってて」


「は~いっ♪」



パタンとドアを閉めていなくなった美月。


同居生活、やっぱ楽しい予感しかねぇー!