「こんな綺麗な子見たの初めてだったし。高嶺の花って、まさにこういうことを言うんだなって」
鼻息荒く熱弁するタケル。
けど、タケルの気持ちもわからなくはない。
美月は、マジでそこらへんの芸能人より綺麗だし。
凛とした美月の態度が、余計に近寄りがたいオーラを放っているのかもしれない。
「だから、美月ちゃんとこんな至近距離で話せて、俺、超感動！」
頬を赤く染め、大きなその瞳をキラキラとさせながら美月を見るタケル。
おまえは、乙女か。
「……それは大袈裟」
少し困り顔の美月。
「いや、マジで大袈裟なんかじゃないんだって！だから、美月ちゃん。これからも、話しかけてもいいかな？」
美月の反応を伺うようにして聞くタケル。
少しの間が空いたあと。
「……私のことを変な呼び方しないって約束してくれるなら、」
「もちろん、約束しますっ！」
即答するタケルに、美月がふっと表情を緩めた。
その瞬間、チクッと胸に鋭い痛みが走る。
なんだろ、この感覚。
けど、なんかすげー嫌。
「超ヤベー！美月ちゃんが初めて俺に笑ってくれた！」
喜ぶタケルに余計苛立つ俺って、超ちいせーよな。
けど、再会してからはまだ一度も俺には笑ってくれてないだけに、すげー悔しくて。
くそっ。
いつか絶対、美月の笑顔は俺が独り占めしてやる──。
