ケータイ小説 野いちご

仁意那隊長は檻から抜け出る

学校から大分離れた所に来たので音を立てて走っても大丈夫だろう。念のためシートは被る。
二人でただひたすら下りる。前だけ見て、駆け下りる。光が見えてきた。あそこは道だ。あの道を下ればすぐ近くにお店や家がある。あの光の中に飛び込めば、解放される……

「あともう少し……」

「頑張ろう!仁意那ちゃん!」

二人とも前を向いて言った。

「いたぞ!」

あいつの声だ。闇が追いかけてくる。

振り返らずに走る。闇にのみ込まれる前に……光の方に早く行きたくて、手を伸ばした。

「こんなときだけ走るのが早いんだな。お前のせいであのときは負けたのに」

そんなことが聞こえた。そして、足に石を投げられる。私はそのまま倒れてしまった。声がした方を見ると、昔私をいじめていた男子がいた。そういえば……運動会の後に、お前のせいで負けたと言われたな……

「いつも授業妨害してるけど、今日も皆に迷惑かけてるね」

沢野さんを縄で縛る同じクラスの男子が沢野さんに向かって言った。前はそんなこと言わない優しい人だったのに。

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