「……………どうしてあなたなの…。」


鮫島さんが口を開いた。


「どうしてドナーは美波に使われなかったの!?」


鮫島さんは悲しそうに辛そうに怒っていた。


「……………わかりません。」


「あなたはなんにも発作がなくて、

どんどん悪化してく美波に使えば、美波は…」


「やめろ鮫島。」


……………そうだよ。

私もずっとそう思ってたよ。

でも…そんなの仕方ないじゃん。

決めるのは私じゃないんだから…。


「なんで湊は平気なの!?

この子がいなければ美波が助かったかもしれないじゃない!」


私がいなければ、か…。


「一番辛い思いをしてきたのは由茉だ。

こいつがどんな思いをしてきたかも知らねーのに

好き勝手に言ってんじゃねーよ。」


「……………その通りだよ。

私がさっさと死んでれば

あの時、美波は助かってたのかもしれない。

私が死んで、美波が助かれば……

全部丸く収まってたもんね。」


私は微笑んで家を出た。


あの場にはいられなかった。