皆と遊ぼうと思い一階に下りると、慎に『久々遊ぼうぜ』と言われて迷いもなく了承。


けど、「いいよ」と言ったものの、準備を始めたら小競り合いをし始めた二人。


「ねぇ、しないなら砂月(サツキ)達と先するよ?」


段々とヒートアップしてきた二人に呆れた口調でそう言うと、二人はピタリと言い合いを止め、此方に向き直った。


「ごめんごめん!さぁしようか!」


あっけらかんにそう言い放った慎が準備運動をし始める。


うわー、ヤル気満々だ。


これは相当鉄パイプの事根に持ってるな……。


慎の頭の中にはもう“女”のあたしは存在しないらしい。


気を引き締めなきゃやられそうだ。



「じゃあ俺からな!」


「オーケー。じゃあ始めよっか」


陽気な声でそう言うと、トンッと爪先で軽く跳び跳ねた。



「──行くぞ」


そう言った慎はもう、いつもの能天気な慎ではなかった。


あたしを見据える鋭い瞳。


それは、この頂点に立つ者達が担う鋭き瞳によく似ていた。


けれど、その輝きはまだ弱い。


これから数々の経験を乗り越え、その輝きを磨いていくのだろう。


その輝きが本物になった時、獅鷹幹部として、いや、もしかしたら総長としてこの獅鷹を纏めているかもしれない。


慎、強くなって獅鷹を護って。


そう心の中で呟くと、地面を思いっきり蹴り上げた。