「テメェ等待ちやがれっ!!」


「ちょ、オイ、陽!!」



階段を数段下りた時、陽が突然一階を覗き込んだかと思うと、掴んでいる手摺りを思いっきり飛び越えた。



「陽!!」


「陽っ!」


吹き抜けホール全体に彼方と壱の叫び声が響き渡る。


けど、二人の焦り声とは反対に、陽の身体は小柄な事もあってか軽やかだった。


宙を浮いた身体は真下を走っていた三人の上に真っ直ぐ落ちていく。



「グハッ!」



一人の男に陽の足が直撃。


と言うよりも、陽の身体が乗っかったという方が正しいかもしれない。



「つーかまえたっ!」



男から退けた陽が直ぐ様男の胸倉を掴み上げる。


けれど、それも一瞬だけだった。


「テメェ離せや!」


突如陽の頭目掛けて振り上げられた足。


それを見た陽は掴んでいた手を離さざるを得なくなり、


「チッ」


仕方なく振り払うようにその手を離した。


陽は迫り来る足を寸前でしゃがんで交わすと、地面に両手をつき、それを軸に身体を回転させる。


そして、思いっきり相手の足を払った。



「そんな遅い蹴り、俺に当たるかよ、バーカ!」


パンパンと手を払いながら立ち上がり、足元に転がっている男に向かってそう言い放つ陽。