寝る間も惜しんで動き回った結果が“コレ”だ。


鳳皇全員が待ち望んだ結末。





「……アイツ等も嬉しそうだな」


凛音を取り囲むメンバーを見て煌が苦笑混じりに呟く。


けれどその表情は穏やかで。



「当たり前だ。りっちゃんが帰ってきたんだぜ?はしゃぎたくもなる」


煌の肩へと手を乗せた彼方も同様にうっすらと笑みを浮かべていた。



「彼方ははしゃいだら駄目だよ。凛音ちゃんが可哀想」


「……壱、お前言うねぇ……。大丈夫、優しく抱き締めるから」


「いや、それが可哀想って言ってるの」


「どういう意味だそれは」


ムッとしながらも彼方の頬は緩められていて。


一方、毒づいた壱も愉しそうに微笑んでいた。






「えー!!胴上げするのー!?」





「ちょ……流石にそれはマズイだろ!」


「確かに。お兄さんの目の前で怪我しちゃったら洒落になんないよ!」


「凛音が居なくなるのはもう勘弁!オイッ!お前等ストーップ!!」



凛音の叫びに大慌てで止めに行こうとする彼方と壱と陽。


そんな三人の背中を見て思わず吹き出した煌は横目で十夜を窺った。


十夜は真っ直ぐ凛音だけを見ている。


他人から見たら無表情に見えるかもしれない。


だけど煌には、いや、身近にいる者には十夜のその表情が無表情ではないと分かる。


優しく、そして熱い眼差し。


愛しげに見つめるその眼差しは、確かに凛音への想いが込められていた。




煌は思った。


必死になって良かったと。


十夜の為に、仲間の為に。

そして自分の為に。


必死になって良かったと、心からそう思った。