「新しい浴衣着ようと思ってたんだけど仕方ないか。じゃあ地元に帰った時着ようかなぁ……」
「え、凛音浴衣着るの!?見たい!俺一緒に行くから着てよ!」
「えー、だったら俺も行くー。りっちゃんの浴衣姿見たいし」
「じゃあ俺も行こうかな」
「え、皆行ってくれるの!?」
陽を筆頭に彼方と壱さんも挙手してくれて。
わーい、と歓喜の声を上げるあたし。
「やったぁ!じゃあ十夜と煌は残念だけどお留守番しててね?お土産買ってくるから!」
二人にそう言って、「楽しみだねー」と陽と手をハイタッチする。
「……行く」
「俺も」
「ん?」
ぼそりと聞こえたその声に振り向けば、十夜と煌があたしを見ていて。
「祭り、行く」
さっき行かないと言った二人が急に行くと言い出した。
「え?行くの?揉みくちゃにされちゃうかもよ?」
「お前野放しにしたら死人が出る」
「……はぁ?」
何それ。
「煌、大丈夫だよ。ちゃんと監視するから」
「……え”」
監視って……。
壱さん、それ全然フォローになってないんですけど。
兎にも角にも、皆で行ける事になった夏祭り。
黒烏の事なんかそっちのけで夏祭りの計画を立てるあたしは終始ルンルン気分。
「早くお祭りの日にならないかなぁ」
──この時のあたしは知らなかった。
楽しみにしていた夏祭りが自分の首を絞める事になる事を。