ケータイ小説 野いちご

暫定彼氏〜本気にさせないで〜

部屋に入ってからも何もする気が起きず、部屋の真ん中に座り込んだまま動けなかった。


陽日が社長の息子?


そっか……だから遊園地で迷子になった時、秘書が見つけたって言ってたのか……。


「はるひ……」


声に出して名前を呼ぶと、急に涙が溢れてきた。


あの悪戯っ子の様に笑う顔も、美味しいって嬉しそうにご飯を食べてくれたのも私から何かを聞き出す為だったの?


あの非常階段での突然の告白も私に近付く為?


全ては組織の役割として動いていた事なの?


私をその気にさせておいて、話がまとまれば私との事はどうするつもりだった?


適当に理由つけて切ってしまえばいいって思ってた?












そっか……


そうだよね。


考えてみれば私と陽日、全然接点無いもの……。


全てがビジネスの為に、そう考える方が自然だよ。


だけどーーー


あの日、ここで初めて交わしたキスまで嘘だったとは思いたくない。


俺の気持ち伝えるからって私にくれた熱いキスまで否定したくない。


したく無いのに……


涙が止まらない……


陽日、ちゃんと陽日の言葉で説明してよ。


あの時、私を抱きしめてきっと話すからっていってくれたじゃない。


なんで何も言ってくれないの?


それとも言えないの?


私、もう無理だよ。


こんな気持ちじゃ信じて待ってられないよ……。










私はその場に泣き崩れるしかなかった。








< 138/ 229 >