「り、凛音ちゃん、ぐる゙じい゙……」

「……あ」



腕の中で苦しそうにもがいている妃奈に「ごめんごめん!」と謝って、慌てて身体を離す。



「凛音ちゃん、次からはもっとお手柔らかにお願いします」

「あはははは……ごめんね、妃奈」



後頭部をポリポリ掻きながら苦笑し、鞄を机に置く。


──と、忘れてた。本題だ、本題。



「妃奈、昨日さ、あたしストーカーの件で奴等を呼び出したんだけどさ。実は大失態を犯しまして……」

「………へ?大失態?」



ポカンとした表情であたしを見つめる妃奈にあたしはハァと深い溜め息を零しながら頷き、昨日の出来事を順を追って説明した。


勿論、超小声で。








「はぁ……凛音ちゃん凄い」



あたしの話を洩らす事なく全て聞いた妃奈は、ほぉと溜め息を洩らしながら感心している。



「あはははは。何とも言えないよね」



思った通りの反応に顔を引き攣らせながら笑うあたし。



「でも、守られてた方が安全だよ。解決したらその後どうしたいか決めたらいいと思う」


「うーん……そうだね。とにかく早く解決する事を祈るよ!」


「おーい、席に着けー」


「あ、先生来た」



豪快な足音を立てながら教室に入ってきた先生を見て、話は取り敢えずここで一旦終了。


クラスメイト達もみんな自席へと移動し始める。