「く、苦し……」


腕の中でもがいている男の子を力一杯抱きしめて、グリグリと頬ずりする。



明るめハニーブラウンの髪色。


その色に見事マッチしている短めのソフトモヒカン。


クリッと大きいけど、目尻は少しつり上がっていて。


その目が確かに男の子だという事を主張していた。


座っているから背の高さは分かんないけど、見た目からしてきっとあたしとそんなに変わらないと思う。


なんて言うか、見た目だけで言えばやんちゃなお猿さんみたいだ。



もう、ホントに可愛いすぎる!!



「く、苦しい!ちょ、東條!痛ぇよ!はーなーせー!」



……おぉっと、またやっちゃった。



両手をばたつかせて必死に叫んでいる男の子を慌てて離すと、男の子はあたしから素早く身体を遠ざけ、超怖い顔で睨んできた。



「ご、ごめんね!可愛くてつい!」



取り敢えず頭を下げて合掌。


睨んでる顔も超可愛い、と思ったのはもちろん内緒。


これ以上刺激すると余計に怒りを買いそうだから言わないでおく。



「つい、じゃねぇよ!どんだけ力強いんだよ!あーびっくりした!」



よっぽど痛かったのか、両手を交差させ、二の腕を摩りながら唇を尖らせるプリティボーイ君。


その表情がまた可愛くてムラム……っと。



「ごめんー。あたし可愛いものを抱きしめる力だけはハンパなく強いんだよねー」



握力は物凄く弱いんだけどね。えへ。