「見つけられるモンなら見付けてみなさいよ!もし見つけたら名前教えてあげる!」

「ブッ……!」

「……あ」



気付けばそう口走っていて、直ぐに後悔した。


後悔してももう後の祭り。

自分から言ったから後にも退けず、キュッと唇を噛み締める。




「ククク。お前、それを言うなら普通は仲間になってやる、じゃねぇ?」

「う、うるさい!名前教えてあげるだけでも感謝しろっ!」



馬鹿男の小馬鹿にしたその口調にカァと頭に血が上がり、口調が荒くなる。



「絶対見つからないから!!」



これで最後だとでも言うように捨て台詞を吐くと、


「いーだ!」


頬っぺたを左右に引っ張ってその場から走り出した。





「絶対見つけ出してやるからなー!気をつけて帰れよー!」



背後からそんな声が聞こえたけど聞こえてないフリ。


冗談じゃない。絶対見つかるもんか。


暴走族の仲間なんて冗談じゃないっつーの!


とにかく、もう会うことはない。

っていうか会いたくない。


絶対会いませんように!!





そう願いながらマンションまで止まることなく走り、家に着いた頃にはもうヘトヘトで。


当然買ったコンビニ弁当なんて食べる気にもなれず、そのまま放置してお風呂に入ってすぐに眠りについた。





まさかこのとんでもない出逢いがあたしの人生を大きく変える事になるとは、この時のあたしは知る由もなかった。