路地裏の奥、やってきたのは俺と裕貴。

 一人でいいと言ったが、若頭付きの護衛である裕貴の立場からすれば、俺を一人にできないのは当たり前。

 仕方無いと納得して、コイツと来たんだが……。

 「何だ、コレは…」

 見たことない服に身を包んだ女が、まるで棺桶に入るときのような格好で眠っていた。
 緩くウェーブのかかった腰くらいまである白金の髪は闇の中でもなお光り輝いており、白い肌は月明かりに照らされなくても白いとわかるくらい白かった。
 その頬は色づいておらず、しかし唇は真っ赤にその存在を主張する。
 鼻筋の通った美しい顔の持ち主の瞼は閉じられており、その長い睫毛から覗くであろう瞳を見ることはできない。


 俺と裕貴は、ただただ声を失った。


 絶世の美女。
 それは顔だけではない。

 その雰囲気が、俺の心を掴んでやまない。