そのあと

わがままな千晶さまには離れていただき、学校に向かった。




寮はボロアパートをそのまま改造して再利用した、よくてエコな悪くて低予算というものだ。


あくまで健全を好む学校は、思春期には焦れったい男子寮と女子寮を作った。



例外は俺らだけ。



周りは羨ましいとかムカつくすら言わないほど俺らに無関心だ。

まあそこは助かる。



あまり突っ込んで欲しくないから。


千晶のために。




「千晶」


「んー」


寮の鍵を回しながら、ローファーを必死にけんけんで履く千晶に話しかける。


「…あのさ、今日山本先生んとこ行くよ」


「え!?」


「手。そのままにしとく気?」



絆創膏で貼っただけの手。



一応水で洗ったけど、鏡の破片が入ってるかもしれないし。

化膿したら大変。



「あー…陽も一緒?」


「もちろん」


二年ぶりだろうな、千晶は。


千晶、1年の最初に行っただけだし。