寝ている小松の目から、とめどなく溢れる雫。





「……すまない」





俺には、そんなことをする権利などないのに。


まだ小松の頭に乗っていた手を引っ込め、そっと側を離れようとする。


が、立ち上がる寸前、小松は俺の腕を緩く掴んだ。





「も……行かないで…」





そして、またポロポロと芳乃から溢れる涙。


俺の腕を、小松は離そうとしなかった。


だが確実に、この時俺を罪悪感が襲ったんだ。


やはり、小松は自分の両親が殺されたことは分かっている。


……それでも、揺らいでしまう。


俺の決心が。


また、お前を好きになってしまう──。