口元は緩やかに弧を描いてるくせに、ち
っとも目が笑っていない。



むしろ、少し蔑むようにさえ見える。



「……俺はね、精神的攻撃とか、作戦を
練るのが得意なんだよ?」


「精神的攻撃……」



その言葉に、より一層胸のざわめきが増
す。



逃げろ、と危険信号がどこかで鳴ってい
るのに、私の足は動いてくれなかった。



「……調べようと思えば、なんでも調べ
られるんだよ」


「……何が、言いたいの……」



そう尋ねれば、彼はその美しい銀髪を、
さらりと揺らし。



「君の事も、調べようと思えばなんでも
わかるんだよ。───過去の事も、ね」



と、悪魔のように微笑んだ。