私は
その一部始終を
狂った依頼人が
渡したビデオテープで
みていた。
その場面をみていて
あの時を思い出す。
指がない、それだけで
実の母親に虐待されていた地獄の日々を。
私は親から離れ、
13のときになかった
指を取り戻した。
医学が進歩し、
脳波からくる手を動かすという信号を電気信号で 伝える。
その手術を
あの方にしていただいた。
大きな病院の院長で
私はその院長と約束をした。
『君の手が動かせるようになったら私の願いをきいてくれるかな?』
頷いた私に先生は
微笑むと私の手を治してくれた。