遥の左胸を、すぐに納められるように向きを変えながら、私は棺桶にたどり着いた。


そして、倒れ込むようにして、その左胸を棺桶に納めた私。


なんとか……間に合った。


フウッと吐息をもらし、私を追って来ている健司の方をゆっくりと見る。


私の目の前に迫る赤い手が、その日最後に見た物だった。


これは、高広の血なのだろう。


でも、約束は守ったからね。


高広が私を、健司から守ってくれたから……。


私がどうやって殺されたかはわからない。


グチャッという音がして、私は健司に殺された。