額の汗をシャツで拭う。
…息が上がり過ぎている。


「…はぁ…夢…だよな、ただの…。」


上半身だけを起こして、呼吸を整える。
らしくない、なんて分かってる。それなのに、不安は消えない。


「…ん…あ、蒼刃…?」


俺があまりにも勢いよく起きたからだろう。
星来が眠そうな目をこすりながら俺を見上げる。


「…悪ぃ。起こしたな。」


俺は星来の額に手を置いた。


「…っ…!大丈夫!?」

「あ…。」


やっちまった。
自分が不安定な時にこいつに触れてはならない。


読まないように、と努力はしているものの、寝起きの星来は魔法が緩んでいる関係で敏感だ。


星来も勢いよく起き上り、枕元の灯りを強くした。


「怖い…夢…?」

「…そこまで読んだのかよ。」

「ごめん…でも、すぐ離れたから夢で何かあったことくらいしか…。」

「…なぁ、抱きしめていいか?」

「え…あ、い、いいけど…でもあたし今魔法が解けてて心読んじゃ…。」

「読んでいーよ。今、お前がいること、確かめたい。」

「じゃ、ど、どーぞ。」

「どーも。」


俺はゆっくりと星来を抱き寄せた。