___鈴木良太

 あまり学校に行かなかった弥生だが彼の名前を聞くと、にがく苦しく、そして苛立ちの感情が浮かんでくる。背が低く、男子からはいつもバカにされていた。いや、みんながバカにしていたのかもしれない。

 舌足らずなしゃべりかたと、高い声。いつも何かにおびえているように目を泳がせる姿も、鮮明に頭に思い浮かぶ。

 パシリにされたり、まるで小学生のいじめのように教科書や上靴を隠されては泣いていた。たまにしか学校に行かなかった弥生は、ことさら自分の教室内での地位を主張するように、理不尽ないやがらせをしたのだ。

 背筋を冷たい風が通り抜ける。

___私じゃない。私は皆にならって真似をしていただけ。もっといじめていたやつらはたくさんいる。大丈夫、私じゃない

 顔を伏せ、震える膝を必死で押さえた。