それから数日後の5月上旬。


あたしとママは七夕家へ向かっていた。


ママの運転で車が進むにつれて見慣れた景色が遠ざかっていく。


毎日通った女子高。


小学校の頃よく遊んだ公園。


学校帰りに立ち寄った本屋さん。


あたしは流れる景色を目に焼き付けていく。


「さよなら」


さよなら。


大好きな街。


そして、あたしは前を向いたのだった。