私が通う朝比奈高校は、県内ではちょっとした進学校だ。

 中学3年の時点で全国平均を下回っていた私が合格を勝ち取るには、それはそれは大変な努力が必要だった。

 そしてぎりぎりでこの学校に滑り込んだ結果、日々難しくなる授業についていくのが精一杯です。

「レミ、今日の数学のノート、写させてぇ」

「あー、さっき別クラスの友達に貸しちゃった。戻ってきてからでもいい?」

 ざわざわと賑わう昼休みの教室で、レミはお弁当の包みを開く。

「ちーちゃん、数学の時間、寝てたの?」

「起きてたよぉ。でも先生の板書に追いつけなくて」

「あー多田セン、消すの早いもんね。うちのクラスも佐久田センセーがよかったなぁ」

 レミの言葉にドキッとした。