不安げな声に、揺れる瞳。


そんな柳瀬さんさえも、理性なんて吹き飛びそうなほど俺の心を揺さぶる。




「──市原くん」






名前を呼ばれるだけで、胸が苦しい。


だけど、俺にはそんな資格ないから。

彼女に恋い焦がれて、想う資格なんてない。


バカで、どうしようもない俺になんて。



誰よりも俺が彼女のことを好きだと思ってた。だけど、勝手に俺がそう思ってただけみたいだ。

だって、分かってしまったから。



俺より何倍も、彼女のことを真っ直ぐに想ってる奴がいるって。