「瞬くん、一緒にまわろっ?」


「高崎さん、離れて」


「もぉ、高崎さんなんてかた苦しい呼び方しないでよ。里華って呼んで?」


「無理」


「ちょ、待ってよ瞬くん!」




合宿二日目の夜。


唯一の楽しみである自由時間に“それ”は起きた。




ことの発端は数時間前。


佐久間から逃げ出し、体育館に戻った時のこと。



『六花!聖南と合同肝試しすることになったから!』


『………へ?』



ななちゃん先輩から突然告げられたその言葉に、私は目を見開いて驚いた。



藤ノ宮では毎年、夏の合宿で肝試しをすることが恒例になっていたから、それに関してはさほど驚きはなかったんだけど。


でもまさか、聖南と合同で肝試しをするなんて。


ほんとビックリだ。