「ヨシミちゃん、それは誤解よ? 私が大輔さんを……だなんて」


私は子どもに言い含めるような優しい声音でそう言った。ヨシミちゃんの歳はわからないけど、口調から察するに高校生ぐらいかなと思ったから。


「ごまかさないで。あなたが大輔君を見て何度もため息をついたり『素敵……』を連発してるの、あたし知ってるんだから!」


えっ?
ああ、そういう事? それで剛史さんは機嫌を悪くしていたのね。もう、剛史さんたら……


「ヨシミちゃん、それは違うのよ? 私は確かにそうしていたかもしれないけど、大輔さんを見てじゃないの」

「うそだ。あなたは確かに大輔君を見てた。玉田さんも大輔君も、あなた好みのイケメンでしょ?」

「正直、確かにそうね」

「ほら見なさい」

「でも違うの。今、私が素敵だなと思うのはお兄さんの剛史さんだけよ? 玉田さんや大輔さんよりも、ずっとずっと」

「だったら、どうしてため息ついてたの?」

「あれはお二人を見てなのよ?」

「二人?」