「どうだ? 気に入ったか?」


「うん! すっごく気に入った! ありがとう!」


あたしは卓上ミラーに顔をくっつけるようにして覗き込み、いろんな角度から自分の顔を堪能する。


「本当にメイクってすごいね! あたしがかわいく変身しちゃったよ!」


「メイクはさ、単なる手助けだよ もとからあるものを引き出しているに過ぎないんだ。今のお前がかわいく見えるのは……」


大地はヒョイと屈んで、微笑みながらあたしと視線を合わせた。


「もともとお前が、すっげぇかわいいってことなんだよ」


―― バクン……!


心臓が大きく鼓動を打った。


血液が顔に集中して、皮膚がジリジリと痛みを感じる。


……どうしよう。見られてる。こんな真っ赤に染まった顔を、あたし、大地に見られてる。


恥ずかしくて、どこかに隠れてしまいたい。


でも大地にかわいいと言われたことが、うれしくてたまらなくて、心臓のドキドキも止まらない。