ちょ、ちょっと待って。聞き間違いじゃないよね?

今私のこと従業員って言った?


「わあーまじっすか!!おい、みんな!念願の女の子だぜ」

なぜか盛り上がる店内。


言われてみれば確かに男の人ばっかりだ。ここに女の人はいないのかな。


「てめえらがすぐ手を出すから辞めて行くんだろうが!今回は絶対ダメだからな。この子になにかしたらクビな。クビ」

鉄さんは呆れた顔で従業員たちに言った。


……手を出すって?ってかそんなことより私はここで働かないし。


「ねー俺、康之(やすゆき)って名前。ゆっきーって呼んで」

「あ、俺、貴史(たかし)。たかみーで宜しく」

「俺も俺も!」

私はあっという間に囲まれてしまい逃げようにも身動きがとれない。しかも「てめえ、割り込んでくんなよ」とか喧嘩が始まりそう。

みんないい人そうだけど、私は……。


「はいはい。お前たちは仕事。俺らは奥で話すから」

鉄さんは私の腕を掴んで、奥のスタッフルームへと引っ張った。


「あー鉄さんだけずるい!」

なにやら後ろでまだ騒いでるけど、なんかとんでもない所に連れてこられた感じがするのは気のせい?

私が想像していた〝サンセット〟とはちょっと違ったな。