舞う雪を眺めながら、少女は廃屋の壁に背を預け蹲(うずくま)る。

 朝から気温は下がるばかりで、吐く息は白くとも、手足が真っ赤になり霜焼けになろうとも、少女は構わず蹲る。

 「真っ赤だ…」

 目の前に広がる白銀の世界を眺める少女の呟きを、町の喧騒がかき消していく。

 闇に埋もれた様な虚ろな桃色の瞳を空へ向け、少女は雪に手を伸ばすが、触れたと同時に雪は水となり消えうせる。