それからの私は・・・、毎日がちょっとだけ潤ったような、そんな感じがしていた。

 朝、起きて深呼吸して・・・、

 朝食の準備をする。

 祖母と食事を済ませてから掃除をし、それから読書したり音楽を聞いたりする。

 それからは・・・

 少しうとうとして・・・

 眠ってしまったりもある。

 縁側で木々の匂いを思いきり吸い込むと吐く息までもがクリーンになってくような気がしてならない。

 何もかもが心地いい・・・。

 人間なんて単純なものかもしれない・・・。

 私はいい年して、あんなに若い男の子に恋をしてしまった・・・。

 そして今の私にとって、あの子が私のすべてになろうとしてた・・・。

 不思議と言えば不思議。

 短絡的と言えば短絡的。

 この間まで生きてる事に疑問を持ち、死のうとしてた私が・・・。

 自分でも笑っちゃうほどに単純だと思った。

「こんにちはー。」

 レイだ。

 レイは息を弾ませ、私のそばに駆け寄ってきた。

 若い男の子には言葉に現せないエネルギーみたいなものがある。

 近寄られると眩しすぎて、つい目を伏せたくなるようなエネルギー・・・。

「今日、あなたに見せたいものがあって持ってきましたっ。」

 レイはカバンの中からノートを取り出
すと、それを私に見せた。

 それはかなりアートなイラストだった。

 何ページにも渡ってギッシリと描かれたイラストはとても上手だ。

「へーこれ、レイが描いたの?」

 私はレイの方を見る。

「そうっすよ。

 俺が描いたんです。

 俺、絵とか書くの凄く好きで夜中でも夢中に描いたりして、気がついたら外が明るくなってるなんて事よくあるんすよねー。」

「ニャーー。」

 クラウディオ(猫)が部屋から出てきた。

 レイを見つけると、クラウディオはレイの膝に飛び乗った。

「凄いね。

 上手だね・・・。

 絵の勉強とかして絵を描く仕事とか将来やったらいいのに・・・。」

 私は一人で興奮してた。

 クラウディオの背中を優しく撫でる彼は目を細めてる。

 クラウディオは彼が大好きなんだ・・・。