「俺、ずっと、お前のこと好きだった」


「え……」


何年、この言葉を待っただろう。

あなたと出会ってから、12年…

片時も、忘れたことなんてなかった。

あたしも大好き…ずっとあなたが好きでした。


「あたしも…あたしもだよ」


今まで、恥ずかしさで伏せていた顔を上げる。

目の前には、優しく笑うあなたがーー……






ジリリリリリリリ!!


「うわっっ!」





気持よく寝ていた+良い夢を見ていた、あたしを目覚まし時計が叩き起こす。



「夢か……もう一回寝よ……」



夢の続きが見れるといいなぁ……

そんな、淡い期待を持ってベットに入り直したその時ーー。


「真由~~~!!」


階段下から、声が聞こえた。


なによ……うるさいなぁ。


「真由~~~!!」


朝っぱらから、なんなのよ!

安眠妨害をされて、ただでさえ機嫌が悪いのに……


「あんた、遅刻するよ!」


なんだ……そんなことか……





って……ええぇえぇええええ!?!?



急いで、目覚まし時計を確認すると……


「ぐわぁっっ」


ただいま、7時40分。


急いだら間に合うかな……


「なんで、もっと早く起こしてくれないの~!?」


大声で文句を言うあたし。


「起こしてたわよっ」


それに、負けじと返すお母さん。

いつもの朝の光景。

お母さんが、用意してくれてた食パンをほうばりながら、

今日もあたしは、遅刻ギリギリに家を出る……


「いってきます!!」

「気をつけて行きなさいよ!」

「はーい」


ただいま、8時5分。

まだ、間に合うっ!

あたし、花本 真由。(はなもと まゆ)

新垣高校の1年生。

見た目は、標準。

スタイル、まあまあ。

どちらかと言えば、地味な方。

間違っても、恋愛なんてできないような、あたし……。