眠れないまま迎えた震災三日目…


私は坂田さんの車で寸断されていない道を選びながら仙台へと向かっていた。


「寝ても良いよ?」

「大丈夫、疲れたら運転代わりますから。」


本当の本当は大丈夫じゃなかったのかもしれない。

でも、気を張ったままの今は大丈夫だって思えた。
それに寝てないのは坂田さんも同じなのをわかっていた。だから、こんな状況だからこそ…

地震や津波の恐怖をわかり合えるからこそ今は一緒に頑張らなきゃいけないと思った。


「ラジオでも聞こっか!」

「あ、ラジオ聞けるんだ…」

「少しでも情報集めた方が良いしね。」


運転しながらカーラジオのボタンを押す坂田さん。

ボタンを押したラジオから、ノイズ混じりに聞こえてきた震災の状況…言葉の端々からわかる震災の悲惨さに私も坂田さんも言葉が出てこなかった。


「行方不明…こんなにいるんだ」

「そう、だね…」


それだけの会話で途切れた。

行方不明、その中にはめぐみや子供達、親戚や近所のおじさんおばさんも含まれているかもしれない。

他人事じゃないんだって思った。


私だって清水さんに助けてもらえなければ行方不明者に入っていたんだって思うと恐怖なのかわからない震えが止まらなくなった。