「撃沈だ・・・」



今日最後の数学の授業でHPは、ほぼ0状態。


回復させたいのに頭の中は訳の分からない数式がグルグルと回っている。



しばらく数式の頭痛と戦っていたものの、ガバッと顔を上げて井上さんがいるか彼女の席へ視線を移した。



ホッ、まだ居る。



井上さんは、林君と話していて。


本宮さん達と一緒に居る時とは違って、柔らかく微笑んでいた。



「よっしゃ!」



両頬をパンと叩いて気合を入れてから立ち上がると、話が終わったみたいで林君が教室を出て行ったのを見届けてから、井上さんに近づいた。



ちゃんと話すのが初めてだから、ちょっと緊張するけど・・・


持ってる勇気を振り絞って声を掛けてみた。



「井上さん、ちょっといい?」


「え?」



井上さんも私から声を掛けられたのにびっくりしたみたいで


少し両肩を跳ねさせながら振り返ってくれた。



私は、さっきまで林君のいた井上さんの横の椅子を引っ張り出すと、足を彼女の方へ向けて横座りした。