卒業式も終わり、生徒が誰もいなくなった教室の扉は閉まっていたけど鍵は開いていて。



「原っち!」



ガラリと扉を開けると、原っちの姿はどこにもなくて。



窓際の私が座っていた机に1人、携帯で何か話してる人物がいた。





私はドキンと心臓が跳ねていて。



会話が終了したみたいで、パチンと携帯を畳んだ人物は入口へと顔を向けた。



「真琴」





「・・・潤」



学生服のボタンはすべてなくなっていて、中に着ている白いYシャツは見えるのに


日の光を背中に受けてこっちを見ている潤の表情は見えなくて。



「さっきさ、家から連絡があって・・・」



合否判定の事を言ってるんだと気付いた私は、潤の顔がまだ見えなくて、私は1歩ずつ距離を近づける。



表情が少しずつはっきり見えだしたけど、その顔は少し寂しそうで



「・・・どう・・・だったの?」



潤が話そうとしてる事を聞かなきゃと思っても声は震えていて。





「・・・受かったって」


「は?」


「合格通知が届いったって言われた」