「うっ………ゲホッ!」 次に意識が戻った時、俺は痛みと眩暈から咳込む。 見渡す世界は灰色。何もない部屋のようなところ。 俺は変な椅子のようなものに縛り付けられ、座らされている。 「気が付いたかね?」 何もない世界だと思っていたのに突如自分以外の声が聞こえたから、なんだか頭が痛くなる。 その声の方向を向くと、そこには、やはりあの伊佐木という男がいた。 青白い顔、そして不気味な笑いにひやりと背中に汗が伝うのが分かった。