女の人は俺に気づくと、歌を止めて見てきた。


「あら。ぼく、何処から来たの?」

女の人にそう聞かれ「空から来ました!」なんて言えるわけもなく黙っていた。

「言いたくないなら良いわよ。ごめんなさいね。」

優しい微笑みに俺は胸を打たれた。


いつも俺がみる人間は、涙を流したり憎しみの目や怯える目で俺を見てくる。


でもこの女の人は違ったんだ。

女の人は、俺がヴァンパイアと言うことに気づいていないらしく、ただ微笑んでた。


俺にそんなふうに微笑んでくれる人は、初めてだったんだ。


母は、父に好かれるのに必死だったし、父はニタリとしか笑わない。


他のヴァンパイアも俺が王子と言うことで媚びて笑ってくるだけだった。