あいつの力、見てやろうじゃん。


マンションの前に止まった車に素早く乗り込む。

ただ今の時刻、4時半。だから、通行人にも気にしないですんだ。


「……は?」


車内には信じられない光景が。


「壱流、おはよーっ!!やっとだねー。光ちゃんの演技!俺、超楽しみっ」

「みかんゼリー、来週新作発売…壱流、要チェックだよ」

「…おは…っおはよ!ひか…じゃねえっ!!たかしゃ…"高崎光"とついに…だなっ」


来るとは言ってたけど、まじで来たのかよ…!!


中に入らず、ドアのところで固まっていると、運転席から朝には適さない大声で意味不明な言葉が響いてきた。



「壱流っ!寒いだろー、早く入れ3月をバカにするなよ!!かなり寒いんだからな!」

「んでお前もいんだよ!」

マネージャーがいるはずの運転席には社長が座っていた。


「高崎光ちゃんがいるだろ!!あたし、実はめちゃくちゃファンなんだよ!知ってたか!?」

「知らねぇよ」




昼間の俺でもこの会話は理解できねぇんだから、朝の低血圧の俺には拷問だ。


「それにな!女たらしグルー…」

「しゃちょー…だから女たらしじゃないってばー」

「何言ってんだ。あんな熱愛報道を100個も200個もだしやがって」

「だしてねぇよ」


機嫌は最高に悪い。


「朝からキレると皺が増えるぞ!壱流」

「…それはそっちだろ」

「なんか言ったか?」


この酔っ払い捨てて、タクシー呼ぶか…。


「つまりだな!あたしは、ShiNeのうち二人を落としたのはどんな子か気になるからな!」


…は?