「お客様がおかけになったお電話は……」


もう、何回聴いたかわからないメッセージ。
それでもアタシは、切ってはかけてを繰り返す。


お願いだから出て!

望みの綱は、たった一本だけ入ったメール。


元々アタシがユウヤに番号を教えたのは、あの日、携帯をポータビで替えたばかりのユウヤに、メールの使い方を教えるためだ。

何度も送っているのに、最初の一本以外はみな、届くことなく返されてくる。


お願い!


もう我が家はすぐそこだと言うのに、アタシは路地の隅で、必死に携帯をかけ続けた。