誰でも良かったわけじゃない。


…………いや。

誰でも良かったのかも、しれない。


「チサ、チサ」


くちづけを重ね、柔らかく白い谷間に溺れながら、何度も何度も、その名を呼ぶ。


「愛してる」


そうしないと忘れてしまう。

自分が、生きているということ、を。


「……ユウヤっ」


短く乱れた息の合間に囁かれる自分の名前。