「なんでそんなのと付き合ってんの~?ダメ男っぽくな~い?」


にぎやかな音楽の流れる店内に、ハルコの高い声が響いた。
酔っているのか、いつもに増して声が大きい。


……ダメ男……か。


その言葉に、アタシは曖昧な笑みを返した。


言われてみれば、そうなのかもしれない。


……なら、離れられないアタシはダメ女ってところかな。


「別れちゃえば?」


グラスに半分残っていたスプモーニを一息に飲み干して、アタシはすぐさま、ブラックルシアンを注文した。

何か強い酒が飲みたい。


誘われてやってきた飲み屋は、オールドアメリカをイメージした雑多な雰囲気で、客はそう多くなかった。