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 あたしは喬と新宿のホテルで抱き合って、密な一夜を過ごした翌日、午前九時前ぐらいまで眠っていた。


 ふっとベッドサイドに付いているデジタル時計を見たあたしが、


“いけない。もうすぐチェックアウトの時間だわ”


 と思い、隣で寝ていた喬を起こした。


「喬、起きて。もう時間よ」


 あたしがそう言い、彼を起こす。


 喬は眠たい顔をしながら、ゆっくりと起き出し、あたしが洗面所に入っていったのを確認して、下着代わりにワイシャツの上から着ていたTシャツを脱いで、軽くデオドラントを振る。


 都会地のホストは大抵、香水を付けている。


 女――特にあたしのような熟女――を垂らし込むのが仕事だからだ。


 あたしは昨夜の仕事がきつかったので、もうちょっと寝ていたかったが、ホテル側はチェックアウトの時間になると遠慮なしに客を追い出してしまう。