はぁ…伊織チャン。



何でよりによってコイツなんだよ…



じゃなくて、コイツなのよ。



コイツは俺…じゃなくて、私の過去を知っている男なのよ。



"朱美ちゃん"としての私が生まれる前の"六道朱也"としての、過去を知っている人間…



「伊織チャン?」



「なぁに?」



伊織チャンは綺麗な顔を向ける。



瞳の色を失っている漆黒の瞳を。



そんな伊織チャンに、私は聞いてみる。