その日、不思議な夢を見た。

 サラサラと風に靡くカーテンを左右に従えて、白い寝間着かドレスのような姿で、想い人によく似た女性がベッドサイドに立っているのだ。

 それはとても幸せで、とても嬉しい気持ち。

『アイリス……なのか?』

 俺はベッドに寝そべったまま、起き上がる事が出来ない。 声を掛けようとしても、答えてはくれない。
 俺の好きな、あの微笑みのアイリス嬢がそこにいるだけ。

『カークス様。明日の夜、一つだけ願いを叶える事が出来ます』

 これは神様が遣わした夢……?

『カークス様、願いを叶えて』

 俺の願望が言わせたのか?
 それともアイリス嬢の願望なのか?

『お願い、貴方と……』

 アイリス嬢に手を差し出そうとしても、身体が動かない。

『アイリス……』

 ベッドサイドのアイリスは寝そべる俺の耳元で言う。

『待ってる……カークス』