《また、野良猫が殺害されました》


家電量販店の店先では、地元ニュースを映し出したテレビが流れている。


それを横目に光平は町を闊歩した。


初めて野良猫を殺害したときの快感は今でもしっかりと覚えている。


自分の手の中で必死に暴れて、そして生き絶えた野良猫。


あの瞬間、自分が神様にでもなったような気分だった。


自分が相手の生死を操ったのだ。


それから光平はことあるごとに町を歩き、野良猫を見つけると様々な方法で殺していった。


時にはカッターナイフで腹を裂き、時にはライターでその体を燃やした。


どんな殺し方をしても同じような快楽を得ることができた。


しかし最近の光平はすこし不満だった。


出席日数ギリギリのところで進級して高校2年生になったものの、まだ心の中には黒い塊が存在している。


この塊はどれだけ猫を殺しても拭い去ることはできないのかもしれない。


もっと大きなもの。


犬とか、野生動物とかにまで手を伸ばさないといけないのかもしれない。