……聞けば、お姉さんが務めている警察署はこのあたりの所轄らしく、優羅くんたちよりも土地勘に優れているそう。

だけど、私が気になったのはそのことよりも──────────

「警察に、言ったの……?」

そこが肝心で。

いままで依織くんからどれだけ暴力を受けようが、体に傷を負おうが、毎回お父さんとお母さんに『警察には通報しないで』と言ってきた。

依織くんの顔を見るのもままならないぐらいまでになろうとも、絶対にそこだけは譲れなくて……。

通報したあとのことを考えて怖かったっていうのもある。

……けど一番は、依織くんの人生に傷をつけるのが嫌だったから……。

彼をそうしてしまったのは、私だから──────────

『恋々愛は誰にでも平等に優しくて、どんなやつにも好かれてて……そんなの阻止できるわけねーじゃん』