◇慧side


『いいか、(さとし)と慧。
学歴は一生のステータスになる。

私の顔に泥を塗らないように、いい高校といい大学を出て自慢の息子に育ってくれ』


『2人もお父さんに似て、ハンサムで嬉しいわ。ママ友さん達にもよく褒められるのよ!

あとは勉強が出来たらもう言う事ないわね。
お父さんの言う事を聞いていれば間違いないから、いい子にするのよ!』


親は口を開けば、そんな事ばっかり言うからうざい。

見た目とか世間体を気にする父親、
言いなりの母親。

兄貴と俺のことなんか二の次。


いつの時代の話してんの?

1回だけ親父に反抗したことがある。


『あんたらの自己満足のために、
子供を利用するんじゃねえよ』

そしたら逆切れして、一晩外に締め出された。


『反省するまで家には入れないからな』



冷たい声で言い放ち、扉を閉められた時に

……ああ、コイツには俺の意思は通じない。
何を言っても伝わらないんだと悟った。


小さい頃はまともな親だったのに、
いつからおかしくなったんだろうな。

多分中学1年の時に親父が凄腕弁護士ってテレビで紹介されて、有名になった時からだと思う。