「綺麗な肌だね…。オレンジ系のチークが合うかな?」


有は慣れた手つきで、チークブラシを手に取る。


「メイク…得意なの?」


有は肯定するわけでもなく
ささっと私の頬をブラシでなでた。


「メイクさんが新色出たりするとサンプルくれたりしてさ…。女の子にやってあげると喜ぶんだよね。」


有の遊び慣れてる余裕が
また色気を帯びさせている。

蓮や純大とは違う雰囲気をもった人。


きっと
モテるんだろうな。

私のことなんて子供だと思っているに
違いない。


「ひま…。軽く目をとじて。」


いつの間にか
『ひま』と、そう呼ばれていることに気づいた。


だけど、店長(あいつ)に呼ばれているような嫌な気持ちには、なっていなかった。