家に着いて制服を脱ぐ。

今頃パパに酷い目に合わされてるのかな。なんて考えながら浴衣を取り出す。


今日はピンク色にしよっと。
レトロ風なのがとっても可愛い。


片腕を通した時だった。


…気のせいかな。
猫っぽい鳴き声が聞こえるような。


帯を巻いていない状態で窓を開ける。


そして目に付く。敷地内で一番大きな木にぶら下がる猫の姿を…。



「え!幻聴じゃなかったの!?」



慌てて部屋を飛び出す。
廊下を走り、突き当り。



「おじょ…!」

「うわぁ!?」




突然出てきた和に突撃。

着物だったから上手く支えることが出来なかったのだろう、和は私を抱きしめながら尻もちをついた。



痛そうな和の声がする。





「ッ…お嬢、危ないから廊下は走るなって言って──、」