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三日というものはあっという間に時が流れてしまうもので、休息を取ったイリアではあったが緊張感が高まった今日、お茶会に出席する日がやってきた。

三日間で休息を取りつつも、隙さえあれば恋愛指南書と男性のモテテクニックの本を読み漁り、分からないことがあればアゼッタに指導してもらうそんな時間を過ごした。

まだ恋愛というものは知らないが、とりあえず令嬢としての嗜みはエルメナに叩き込まれたのだ。何も心配することはないと、自分に言い聞かせて馬車に乗り込んだ。

お茶会が開かれるのは隣街に大きな商会を構えるソルジャー家。

参加する令嬢の中でイリアが最年長という情報を家から出る直前にエリーから伝えられてからというもの、緊張で背中がむずむずしてしまう。

ーー私が一番年上ということは変なことを口走ったら注目を浴びること間違いなしね……でもやれることはやってきたんだもの。きっと、大丈夫よ。

アゼッタには愛想のいい子達ばかりだから、気を楽にして参加しても問題ないと言われてはいたが、果たしてそれは本当かどうか。

アゼッタ相手とイリア相手では色々と異なる部分が見え隠れするはず、ここはアゼッタの株を下げないことだけを最優先にしておかねばならないと強く頷いた。